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2021.12.24 柏崎刈羽原子力発電所6、7号機における固定式消火設備配管溶接部に関する調査結果・原因と再発防止対策について

2021年12月24日
株式会社 東京エネシス

 この度は、標記案件に関しまして、東京電力ホールディングス株式会社(以下:東京電力HD)様やKK6安全対策共同事業株式会社(以下:KS6)様はもとより、地元の皆さま、関係各方面の皆さま等、多くの方々に多大なご心配とご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。

 当社は、東京電力HD様より受注いたしました柏崎刈羽原子力発電所6号機(以下:KK6号機)及び7号機(以下:KK7号機)の固定式消火設備設置工事を実施しておりますが、その一部工事を当社より受注している一部の協力会社(以下:A社)が実施したステンレス配管の溶接箇所全てにおいて、作業方法に問題がある旨の匿名のご指摘をいただきました。
 ご指摘の内容に鑑み、東京電力HD様へご報告するとともに、その直後より配管内部点検調査等を実施してまいりましたが、その結果、A社の協力会社(a1社)が施工した溶接箇所の一部に適正な施工手順で溶接されていない箇所を確認したことから、7月30日、当社ホームページにおいて「柏崎刈羽原子力発電所6、7号機における固定式消火設備配管溶接部に関するご指摘とその対応状況について」お知らせいたしました。

 当社は、本件のご指摘があった以降、社内リスク管理委員会(委員長:社長 熊谷 努)の下に原子力本部長を責任者とするタスクチームを発足させ、配管内面の現場調査、関係者への聞き取り調査を実施してまいりました。聞き取り調査にあたっては、社外の専門家(弁護士)の立ち会いを得て進め、技術的評価を第三者機関に分析委託する等、客観性の担保に努めてまいりました。また、これらの調査状況につきましては、東京電力HD様、KS6様に、適宜、ご報告してまいりました。

 現場調査、聞き取り調査の結果、KK6、7号機において、A社の協力会社a1社の他、a2社に所属する溶接士(複数)が、定められた施工手順(以下:本施工手順=配管内にバックシールドガス〈裏ガス〉を流しながら溶接を行う手順)に則っていなかったことを確認いたしました。
 このような対応に至った原因は、作業環境によっては裏ガスの効きが悪く、早期に作業を終わらせると同時に裏ガス用ボンベ搬入の手間を回避するために裏ガスを流すこと自体を止めてしまったこと、表面さえしっかり溶接できていれば性能上には問題ないと溶接士らが勝手な判断をしたことにより、本施工手順そのものを実施しなかったという意図的なものであることが判明しました。なお、裏ガスを流し込むためのホースを配管へ差し込んだものの、実際には裏ガスを流さず流したふりをしていたとする証言も確認されております。
 A社においては、工事担当者が傘下の協力会社に対する施工管理を適切に行わず、また、工事担当者の力量不足から溶接士の困りごとを吸い上げることなく、その結果、溶接士の判断任せとなり、結果的に現場管理が十分にできていない状態が常態化していました。
 また、当社工事関係者には、溶接作業はJIS資格を有する溶接士に任せているとの認識があり、意図的な行為を是正することができませんでした。

 以上の点から、当社は、当社に寄せられたご指摘(申告)内容の通り不適切な作業方法による溶接が行われていたことを確認したことから、A社が施工した溶接箇所については全数再施工することといたしました。

 一方、調査を進める過程において、A社以外の溶接施工箇所にも一部、発注仕様通りに溶接施工されていない箇所が確認されました。
 このため、当社はA社以外の一次協力会社の溶接士に対しても聞き取り調査を実施したところ、一部、裏ガス流入に関する施工において、必要なガス置換の不足、管理方法に問題が見られました。
 また、自ら管理基準を設定、運用していた一次協力会社がある一方で、溶接士任せの一次協力会社、自らの経験に頼る溶接士がいることも判明しました。

 A社を含む関係者の聞き取り調査結果を基に要因分析を実施した結果、今回の不適合は、

  • 当該溶接工事は低クラス配管(クラス3)であったため、当社が配管施工計画を作成する手順になっておらず、「裏ガス保護を行う」との包括的な指示に留まり、一次以下の協力会社へ具体的な溶接施工方法を委ねてしまっていた
  • 当社の工事担当者が十分な経験を有していなかったこともあり、酸素濃度測定を一次以下の協力会社へ指示することまで考えが至らずガス置換が不十分となったものがあった
  • 当社溶接施工標準では、当社工事担当者が裏ガス置換状況を直接確認することになっておらず施工記録の確認に留まっていたため、裏ガス用ボンベ保管状況などの現場実態把握の機会がなかった
  • 当社他プラントの工事では、メーカーや顧客の指導もあり現場立ち会いや酸素濃度管理値を用いて適切に管理を行う一方で、新潟支社では酸素濃度管理値を示していない状況にあり、溶接管理において全社的な標準化ができていなかった
  • 現場の状況を正確に把握するため、一次協力会社の工事担当者や溶接士等と積極的なコミュニケーションを図れていなかった
  • 配管ルート変更による手戻り発生や干渉回避のための工事が輻輳する等により設計変更が多く発生し、計画的な裏ガス管理が十分にできないという他工事とは異なる工事環境要因が重なった

等が要因で発生したものと考えております。

 本工事においては、本施工手順に則って溶接作業を実施しても裏ガスの効果が得られにくい条件となる場合があり、当社は一次協力会社、溶接士に委ねることなく、元請会社としてよりきめ細かな施工管理を行う必要があったものと考えております。現場工事管理の立場にあって、現場の課題を的確に把握し対処するという基本姿勢が欠けていたものと重く受け止めております。

 以上を踏まえ、再発防止対策として、当社の調達管理面においては、溶接士の入所時教育にコンプライアンス(遵法)教育を追加すること、溶接技量確認(試験)を強化すること、一次協力会社工事責任者・担当者の経験・資格保有状況を厳格に確認すること等について、また、工事管理面においては、工事管理責任者による工事担当者の管理教育を徹底すること、配管設計の計画段階から裏ガス置換を考慮した検討を行うこと、裏ガス置換時の酸素濃度管理目標を設定し適宜酸素濃度を確認すること等、実効性のある施工手順及び施工時の管理基準の施工要領書への改定について取り組んでまいります。

 当社は、今後、策定した再発防止策を徹底し、その上で、

  • 7号機においては、A社が実施した溶接施工箇所について全数再施工を実施いたします。
  • A社以外で確認された発注仕様通りに溶接施工されていない箇所につきましては、定められた施工手順に基づき施工されている状況でもあり、その健全性等については東京電力HD様が依頼された第三者機関の評価も尊重して保守的に判断し、再施工が必要と判断された箇所については再施工を行います。
  • 6号機については現在工事実施中であり、7号機の調査を踏まえた対策を立案することが合理的であると判断されることから、今回の再発防止策の有効性を評価した上で再施工方法について検討し、東京電力HD様及びKS6様と協議させていただきます。

 今後は当社及び協力会社の安全意識をより高め、これら再発防止策を確実に実行しつつ、安全文化を醸成するためにたゆまぬ努力を続けてまいります。
 また、本件が当社の「品質」、「現場力」における全社的な課題であると強く認識し、第一線工事担当者の管理能力向上、協力会社との良好な関係の再構築により、お客さまの信頼を得るべく全力で取り組んでまいります。

 なお、現時点では本件による当期の連結業績予想の修正はございませんが、今後、影響が見込まれる場合には速やかに公表いたします。

以 上

【添付資料】
「柏崎刈羽原子力発電所6、7号機における固定式消火設備配管溶接部に関する調査結果・原因と再発防止対策について」

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