2020.03.26
火力発電所における「バルブストローク測定値遠隔監視装置」の開発 ~現場経験を活かし、様々な知恵を絞り一つ一つ課題を解決~
火力発電所には、気体・液体の出入りなどを調整する弁が数多くあります。そのうち、タービンへ蒸気を導く配管の途中に設置されているのが主要弁です。
この主要弁は、火力発電所の発電量を制御する重要な設備の一つで、定期点検時に分解・点検・組立が行われます。その後、正常に動作しているかを確認する試験を行うなど調整が必要となります。これまでの主要弁の調整の際、データを測定する作業は作業員の目視により行われてきました。
当社は、主要弁の調整において、現場作業の効率化とより一層の確実な測定を実現するため、「バルブストローク測定値遠隔監視装置」を開発し、その運用を開始しています(2018年12月、一部の火力発電所で運用)。
主要弁の調整の際は、ワイヤー式リニアエンコーダー(機械的な直線位置の変化を測定して、電気信号として位置情報を出力するワイヤータイプの装置)によりバルブストローク(弁棒の移動量)を測定・デジタル化し、その値を無線・有線LANで伝送することによって、制御機器室での一括遠隔監視が出来るようになりました。
これにより、データの読み取りがより正値となり、さらに、現場での「聞こえない」「聞き違い」「勘違い」による人為的ミスを防止することができます。また、現場に設置したWEBカメラにより現場周辺の安全監視を行い、より安全な作業環境を実現しています。
この装置の採用により、人為的なミスの防止による品質向上や現場周辺監視による安全性向上に加え、1作業あたりの時間の短縮(1作業あたり0.5日短縮)や人工削減(1作業当たり1.5人削減)を実現することが出来ました。

〔バルブストローク測定の流れ〕
1.バルブ設置現場にあるワイヤー式リニアエンコーダーにてバルブストロークを測定
2.測定値を、変換器・無線LAN中継器・無線LAN親機を介し制御機器室にあるPCへ伝送
3.制御機器室にあるPCにてデータの記録・保存・確認
〔現場周辺監視の流れ〕
1.WEBカメラによる映像を、バルブ設置現場にあるPC・無線LAN親機を介し制御機器室にあるPCへ伝送
2.制御機器室にあるPCにてデータの記録・保存・確認
開発者のコメント
開発担当者は、「主要弁調整作業のうち、正常に動作しているかを確認する試験時の現場確認については、弁の動作状態とストローク値の確認作業となることから、測定値の確認が出来れば、現場への測定者の配置は不要となり、また、データ通信システムを使用しデジタル化が出来れば、現場作業の効率化が図れ、より正値なデータの確認と人為的なミスの防止が図れるのではないか、と考えました。
遠隔監視装置の開発にあたっては、測定値の信頼性向上を図るとともに、機器の価額・扱いやすさにも重点を置き、汎用品の活用や取付取外作業の容易さを考慮するなど、これまでの現場経験を活かし、様々な知恵を絞り、一つ一つ課題を解決しながら開発を進めました。
その結果、測定値の信頼性向上や現場作業の効率化の実現に加え、作業環境の安全性向上も実現できました。」と、開発のキッカケ・工夫や運用による効果を語っています。
【参考】ワイヤー式リニアエンコーダー・バルブストローク値・制御機器室のイメージ
以 上